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台本・制作

聴きやすい音声台本の作り方:構成・尺・間・話し言葉のコツ

聴きやすい音声台本は、最初に何が聞けるかを約束し、一文にひとつの情報で話し、最後に要点を言い直す台本です。耳で聞く音声は、文章のように読み返せません。しかもPodcastは、8割の人が何かをしながら聴いています⁠[1]。放送や音声制作のガイド、文章の指針、研究をもとに、音声台本の作り方を紹介します。

目次
  1. 耳で聞く文章は「読み返せない」前提で
  2. 音声台本を作る5つの手順
  3. 台本は、どこまで細かく書けばいい?
  4. 構成:最初に約束し、途中で道しるべ、最後にまとめ
  5. 尺:1分あたり何文字が目安?
  6. 間:区切りに置き、置きすぎない
  7. 話し言葉に直す5つのコツ
  8. 公開前のチェックリスト
  9. よくある質問
  10. まとめ
  11. 参考資料

耳で聞く文章は「読み返せない」前提で

米国の公共ラジオNPRの制作ガイドは、ラジオは一方向に進み続け、聞き手はペースを選べないと指摘しています⁠[2]。名前や肩書きは忘れやすく、数字が多いと混乱することも挙げています⁠[2]。聴きやすい台本の基本は、次の3つです。

  • 短く:一文を短くし、一文にひとつのことだけを話す。
  • 順番に:今どこを話しているのかを、ことばで示しながら進む。
  • くり返す:だいじなことは、最後にもう一度言う。

音声台本を作る5つの手順

この記事では、音声台本を次の5つの手順で作ります。それぞれの手順は、このあとの見出しでくわしく紹介します。

  1. 番組の形式を決める:1人で話すか、ゲストを招くか、2人以上で話すか。
  2. 伝えたい要点を決め、話の核になる事実を調べる。
  3. 構成と時間配分を決める:つかみから告知まで。
  4. 耳で聞いてわかる話し言葉で書く。
  5. 声に出して読み、長さと言いにくいところを直す。

台本は、どこまで細かく書けばいい?

Spotifyの台本ガイドは、台本の細かさは番組の種類しだいで、簡単なメモでも細かい原稿でもよいとしています。映画の脚本のように、一語一句を決めて守るものではないとも述べています⁠[4]。形式ごとのすすめ方は、次のとおりです。

  • 1人で話す番組:伝えたい要点を先に決め、その下に説明や例を書き足す。
  • ゲストを招く番組:聞きたい質問を書き出しておく。質問を前もってゲストに伝えることも考える。
  • 2人以上で話す番組:大きな区切りだけを決め、自由に話す余地を残す⁠[4]。

書籍『プロ目線のPodcastのつくり方』も、本編には流れを持たせ、質問は用意しすぎないようすすめています(pp.86-89)⁠[15]。ゲストに質問する側の役目は、リスナーの知識をふまえて質問し、話の価値を引き出すことです(pp.108-114)⁠[15]。

どの形式でも、話の核になる事実は先に調べます。書籍は、事実と自分の意見を区別して話すようすすめています(pp.90-93)⁠[15]。数字や名前は、出典を確かめてから台本に書きましょう。

構成:最初に約束し、途中で道しるべ、最後にまとめ

聴きやすい台本の流れの図。つかみ(何が聞けるかを約束)、あいさつ、話題1〜3(切り替えを言葉で知らせる)、まとめ(要点を言い直す)、告知の順に並ぶ
つかみで約束し、話題ごとに道しるべを置き、最後にまとめます。

つかみでは、要約せずに「何が聞けるか」を約束する

NPRのガイドは、新聞記事のように結論から先に詰め込む書き方は、ラジオに向かないとしています⁠[2]。すすめているのは、冒頭で聞き手に問いを持たせ、最後までに答えると約束する構成です⁠[2]。導入は内容を要約しすぎず、「聞きたい」と思わせるのがコツです⁠[3]。

話題が変わるときは、言葉で知らせる

音声では、今どこにいてどこへ向かうのかを示す「道しるべ」に、文章より多くのことばを使います⁠[2]。Spotifyの台本ガイドも、話題の区切りを示すことばや効果音(セグエ)を台本の要素に挙げています⁠[4]。

最後に、要点を言い直す

文章なら読者は前の段落に戻れますが、音声ではそうはいきません。そのため、人の名前などのだいじな情報は、くり返し伝える必要があります⁠[5]。Spotifyのガイドも、終わりに主な内容を短くまとめる「リキャップ」をすすめています⁠[4]。

たとえば、1人で話す番組なら次の流れが基本になります。

  1. つかみ:今日の問いと、聞くとわかることを約束する。
  2. あいさつ:番組を紹介する。
  3. 話題1〜3:ひとつずつ、切り替えをことばで知らせる。
  4. まとめ:要点を1〜3個で言い直す。
  5. 告知:次回の予告やお知らせ、行動のお願いをする。

同じ書籍は、導入・場を温める会話・本編・振り返り・締めを、基本の構成に挙げています(pp.78-85)⁠[15]。あいさつでは、今回話すことを2〜3文で示しましょう⁠[4]。

尺:1分あたり何文字が目安?

話す速さの目安として、NHKニュースの平均的な話速は1秒あたり8.5〜9モーラ(かなで書いたときの1音)と報告されています⁠[6]。日常会話は1秒あたり約8.5拍、講演の話し方は約8.0拍という研究もあります⁠[7]。

台本の文字数から長さを見積もるなら、1分あたり300文字を目安にすると計算しやすくなります。Podoricaで使っている目安で、漢字とかなの割合や話す速さ、間によって前後します。

文字数と長さの目安(1分300文字で換算)
長さ文字数の目安
5分約1,500文字
10分約3,000文字
15分約4,500文字
20分約6,000文字

日本のPodcastユーザーの約5割は、30分未満の番組をよく聴いています⁠[8]。15〜19歳では、約4割が20分未満の番組をよく聴いています⁠[8]。利用率などのほかの数字は、日本のPodcast市場データまとめで紹介しています。

話題ごとに「ここまで約5分」といった目安の時間を台本に書いておくと、全体の長さを調整しやすくなります⁠[4]。

10分の番組なら、どう割り振る?

10分の1人語りなら、次のように割り振れます。1分300文字で換算した一例です。

10分の1人語りの割り振り例
パート時間文字数書くこと
つかみ30秒約150文字今日の問いと、聞くとわかること。
あいさつ30秒約150文字番組名と、話す人の紹介。
話題1〜3各2分30秒各約750文字要点と、説明や例。
まとめ1分約300文字要点を1〜3個で言い直す。
告知30秒約150文字次回の予告や、聞き手へのお願い。

聞き手へのお願いには、番組のフォローや評価、レビュー、SNSでのシェアなどがあります⁠[4]。

速さは、ゆっくりめが安心です。高齢の聞き手は平均的なニュースの速さをやや速く感じ、ゆっくりにすると聞きやすさが上がったという報告があります⁠[6]。合成音声についても、話す速さが上がると理解しにくくなるという研究があります⁠[9]。

間:区切りに置き、置きすぎない

日本語を母語としない聞き手に、合成音声を聞いてもらった研究があります。日本語の文の構造に沿った自然な位置に間を入れると、聞きやすくなると報告されています⁠[10]。一方で、間を入れすぎると、かえって聞きにくくなるとも報告されています⁠[10]。

カナダの公共放送CBCの台本ガイドも、間を入れて速さを落とすことや、長い文と短い文を交互にすることをすすめています⁠[11]。間を置くとよいのは、次のような場所です。

  • 話題が切り替わるところ
  • だいじな結論を言う直前
  • 聞き手に問いかけたあと
  • 数字や名前を伝えたあと

台本は、聞き手からは見えません。間や強調したい言葉は、自分へのメモとして書き込んでおきましょう⁠[4]。

台本が整いましたと表示されたエピソード画面。保存済みの題名・概要・間を含む読み原稿と音声化の案内
Podoricaのエピソード画面。台本に入れた間もいっしょに保存され、そのまま音声にできます(画面はサンプルです)。

話し言葉に直す5つのコツ

1. 一文を短く、一文にひとつ

NPRのガイドは、ラジオの文はずっと短くする必要があるとしています⁠[2]。耳が一文で受け取れるのはひとつの事実や考えだけだ、とよく言われることも紹介しています。

文化庁の「公用文作成の考え方」も、一文の論点はひとつにし、50〜60字ほどになったら読みにくくなっていないか意識するようすすめています⁠[12]。耳で聞く文章は、それよりさらに短くするつもりで書きましょう。

2. 主語と述語を近づける

「〜が」と「〜した」の間に長い説明をはさむと、聞き手は途中で迷子になります。修飾する語と、修飾される語は近くに置きます⁠[12]。NPRのガイドも、主語と動詞を近づけるようすすめています⁠[2]。

3. 聞いてわかる言葉を選ぶ

同じ音で意味が違うことば(同音異義語)は、耳で聞くと区別がつかないことがあります。「公用文作成の考え方」は、音声で伝える場面も想定して、意味のわかることばで言い換えるようすすめています。音読みの難しい漢語も、耳で聞くとわかりにくいものが多いとされています(例:橋梁→橋)⁠[12]。二重否定(「不可能ではない」→「できる」)も避けましょう⁠[13]。

4. 数字は減らし、丸める

数字は聞き逃しやすく、聞き手に計算をさせてしまいます⁠[2]。必要な数字だけにしぼり、「1,988人」ではなく「約2,000人」のように丸めると伝わりやすくなります⁠[14]。

5. 声に出して確かめる

NPRのガイドは、書く前に声に出して話してみること、そのように話さないなら、そのようには書かないことをすすめています⁠[2]。読んでいて息が続かなければ、文が長すぎる合図です⁠[3]。

マイ辞書画面。登録した表記と読み方、右側に新しい読み方の入力欄
Podoricaのマイ辞書。登録した読み方は、次の音声づくりから使われます(画面はサンプルです)。

公開前のチェックリスト

  • つかみで「今日聞けること」を約束した。
  • 話題の切り替えを、ことばで知らせた。
  • 最後に、要点を1〜3個で言い直した。
  • 一文にひとつの情報にし、長い修飾は別の文に分けた。
  • 主語と述語が離れていない。
  • 同音異義語・難しい漢語・二重否定を言い換えた。
  • 数字は必要なものだけにし、丸められるものは丸めた。
  • 事実と意見を言い分け、数字や名前は出典を確かめた。
  • 固有名詞の読みを指定・辞書登録した。
  • 文字数から尺を見積もり、話題ごとに目安の時間を書いた。
  • 間は切り替えと結論の前に入れ、入れすぎていない。
  • 声に出して(試聴して)、息が続くか確かめた。

よくある質問

ポッドキャストの台本は、何文字くらい書けばいいですか?

1分あたり約300文字を目安にすると、見積もりやすくなります。10分の番組なら、約3,000文字です。

台本の基本の流れは?

つかみ・あいさつ・話題・まとめ・告知の順が基本です。つかみでは、聞くと何がわかるかを約束しましょう⁠[2]。

台本は、全部書いたほうがいいですか?

人が話すなら、番組の形式しだいです。1人なら要点を、ゲスト回なら質問を先に書き、細かさは自由に決められます⁠[4]。合成音声で読み上げるなら、話す言葉をすべて書きます。

話す速さは、どのくらいがいいですか?

ゆっくりめが安心です。合成音声でも、話す速さが上がると理解しにくくなるという研究があります⁠[9]。

数字は、どう伝えればいいですか?

必要な数字だけにしぼりましょう。「約2,000人」のように丸めると、聞いてすぐに伝わります⁠[14]。

書いた台本は、どう確かめればいいですか?

声に出して読んでみましょう。読んでいて息が続かなければ、文が長すぎる合図です⁠[3]。

まとめ

音声台本は、聞き手が読み返せないことを前提に書きます。番組の形式に合わせて細かさを決め、話の核になる事実を先に調べましょう。

最初に何が聞けるかを約束し、話題の切り替えをことばで知らせ、最後に要点を言い直しましょう。一文は短く、一文にひとつの情報にします。尺は1分あたり約300文字を目安に見積もり、声に出して確かめてから公開すると安心です。

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参考資料

  1. 第6回ポッドキャスト国内利用実態調査株式会社オトナル・株式会社朝日新聞社(2026年2月)
  2. The journey from print to radio storytelling: a guide for navigating a new landscapeNPR Training(2017年12月6日)
  3. Radio intros: 7 engagement tips to keep listeners from hitting the skip buttonNPR Training(2015年3月5日)
  4. How to write podcast scripts: Tips and templates to structure your episodesSpotify for Creators(2022年3月18日)
  5. Sound Reporting: The NPR Guide to Audio Journalism and Production(抜粋)University of Chicago Press(2008年)
  6. 高齢者のための音響処理技術(映像情報メディア学会誌 65巻12号)今井篤(NHK放送技術研究所)(2011年)
  7. 人間科学研究交流会 第81回「性別・年代及び会話形式による発話速度の違い」早稲田大学 人間総合研究センター(2024年11月28日)
  8. 第5回ポッドキャスト国内利用実態調査株式会社オトナル・株式会社朝日新聞社(2025年2月)
  9. Synthesized speech intelligibility and persuasion: Speech rate and non-native listeners(Computer Speech & Language 21(4))Jones, Berry, Stevens(2007年10月)
  10. Analysis of preferred speaking rate and pause in spoken easy Japanese for non-native listeners(Acoustical Science and Technology 39(2))Prafiyanto, Nose, Chiba, Ito(2018年3月1日)
  11. The craft of writing for radio: 16 tips from a veteran script-writerCBC Radio(2016年6月1日)
  12. 公用文作成の考え方(建議)及び解説文化審議会(文化庁)(2022年1月7日)
  13. 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン 話し言葉のポイント出入国在留管理庁・文化庁(2022年10月)
  14. Quick Guide: Writing a radio news scriptMedia Helping Media(2026年3月29日更新)
  15. プロ目線のPodcastのつくり方野村高文(クロスメディア・パブリッシング)(2025年)

記事の情報は2026年10月30日時点で確認したものです。各サービスの仕様や調査の数字は変わることがあります。

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この記事の監修者

エダコDX / edacodx production

FMラジオを中心に100番組以上を企画・制作してきたラジオプロデューサー。bayfm、ラジオ大阪、かわさきFMなどで番組をプロデュースし、自身も出演しています。元戦略コンサルタント。Podoricaの番組づくりとコラムを監修しています。

監修者のプロフィール

この記事は、Podorica編集部が公的機関・公式の情報を調べて執筆し、監修者が2026年10月30日に内容を確認しています。法律などの判断が必要な場合は専門家にご相談ください。編集方針

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